【作業日誌】Fender Japan TL52-80TX フレット交換
みなさんこんにちは。
Mirage Leaf Craftworks 店主の永野です。
今回はフレット交換のご依頼を引き受けましたのでその模様を投稿します。フレット周りのリペアはお客様によく聞かれますので、参考になりましたら嬉しく思います。
ご依頼の楽器はFender JapanのTL52-80TXです。
ソロを弾いたりチョーキングしたりすると音が変なんだよね~とのことでした。実際弾いてみると、「みょーん」って嫌なビビり音が出てます。
フレットを見ると見事に弾き込まれた跡が、、
さすがにここまで減ってると弦はビビるしピッチもずれるしリペアしたほうがいいですよ~とお伝えし、15Fくらいまで減りが見られたのでフレット交換を提案させていただきました。
ただ通常のフレット交換ですと、フレットを抜いた後に指板面を綺麗に面出しするのですが、メイプル指板だと再塗装が必要になりその分のリペア代が上乗せされます。「再塗装せずなるべくお手軽に済ませたいな~」とのことでしたので、今回は指板調整をせずにフレット交換を実施します。
備考:本来はちゃんと指板調整したほうがいいです。
指板調整しないと指板面の反りやゆがみを全部フレットで埋めるので、新品のフレットでも高さがその分低くなってしまいます。
作業開始します。
Fender系はフレットを打ち込んでから塗装を行っています。なのでフレットのキワに塗料が重なっているので、そこをナイフで切り込みを入れます。入れ終わったらフレットを抜いていきます。指板面にキズやヘコミをつけないよう慎重に、、
フレット交換の際はナットの交換もします。(絶対ではないですがほぼします)
なのでナットの除去もします。ナット横の塗料に切り込みを入れないと除去時に割れてしまうので、ここもナイフでカットします。(赤線部)
指板面に残った手あかや汚れを綺麗にし、フレット溝を特殊なノコを使ったりして綺麗にします。
溝のめくれや欠けが無いか確認し、適宜補修を施します。
そしてフレットを打ち込みます。集中してたので写真ないです。(撮り忘れた言い訳)
フレット端が伸びっぱなしなので、指板幅に収まるよう処理をします。
ネック部の塗装を剥がさないようにギリギリまで攻めます。ここら辺の処理はプレイ時の弾き心地に直結しますので気をつけて行います。塗装にダメージを極力与えずフレット端面とネック部が上手くそろえられる秘伝のコツがあるのですが、説明がめんどくさいので企業秘密です。
処理が終わったらフレットだけ出してマスキングします。
ネックを調整し、すり合わせを行います。
大まかな手順は、①上部の高さを揃える→②クラウン形状を作成する→③端部を処理する→④きれいに磨く です。
備考:指板調整していないと、ネックの状態により①の時点でがっつり削り込んでしまう場合があります。
細かい番手まで磨いた後、バフをかけてフレット交換完了です。
ナット部に移ります。
溝に接着剤のカスが残っていますので掃除し、別で作成したナットを接着します。
ナット作成の様子は割愛します。理由はお察し、、
ナットの作成ですが、自分はできる限りナット単品で加工し、ネックに取り付けての加工は最小限にします。
理由はナットの溝切り等でネックにキズをつけたくない為です。リペアマンによっては溝にはまるよう成形後、ネック上でがっつり溝切りする方もいます。ここらは職人それぞれのやり方があると思います。
ナット溝の最終調整をサラッと行い、清掃して完了です。
綺麗なフレットに生まれ変わり、嫌なビビり音も無くなりました!
秘伝のコツのおかげで、弾き心地も抜群です。お客様にも大変喜んでいただけてよかったです~
リペアをご依頼の際、ご予算に合わせてリペア内容を変えることも可能な場合がございますので、お気軽にご相談いただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。